はじめに
Domoインスタンスを作成し、ページ、ダッシュボード、カード、ドリルダウンを作成する際の第一の目標は、オーディエンスがビジネスに関する質問にすばやく回答できるようにすることです。主な目標はこのようになりますが、もちろん、各ページの外観、雰囲気、フローをできる限り一貫させることも必要です。インスタンス全体の設計に継続性と計画が欠けていると、エンドユーザーが混乱してしまう可能性があります。
この記事では、わかりやすく簡潔で一貫性のあるダッシュボードを設計する際に役立つフレームワークを提供します。次の例は、企業レベルでの会社の目標達成度ダッシュボードを作成する方法を示しています。
オーディエンス
ページは、Domo内でコンテンツを共有および公開するためのデフォルトの手段です。ダッシュボードを作成する前に、利用者は誰なのか、仕事の成果を上げるためにどのような方法で活用するのかを常に考慮する必要があります。利害関係者は、ビジネスに関する質問に直感的に回答を得られる場所をどのように認識するのでしょうか。Domoでは、ユーザーがビジネスに関する質問への回答を見つけやすくする主な手段は、ページ、サブページ、ページ内のコレクションであると考えています。これらすべてが、ユーザーが探している答えより簡単に見つけ出せることを目標としています。社内の様々な機能になじみのある命名法を使用するようにしてください。
次に、ユーザーが必要な答えを見つけるための一連のダッシュボード操作を直観的なものにするにはどうすればよいのかを予測します。以下に提案する方法では、このようなエクスペリエンスを促進するという点を強調しています。
インスタンスレベルのアーキテクチャ
Domoインスタンスレベルのアーキテクチャはどのように設定すればよいのでしょうか。ビジネスの構成や業界によって多少の違いはあるでしょうが、次に挙げる一般的な企業向けの推奨事項を検討し、組織独自のインスタンスの構成を計画する際に役立ててください(「図1. インスタンスアーキテクチャガイド」を参照)。
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左から右、上から下に向かって、ページではKPI(主要業績評価指標)で構成される最もマクロなビューを最もミクロなビューに優先させ、各サブページはKPIデータのより詳細なビューに移動させます。各ページには、部署、業種、チームに応じたラベルを付けます。
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最初のページは企業レベルのページとし、各部署の最も重要なKPIのサマリを表示します。
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企業ページのサブページには、基幹業務やチームの最も重要なKPIまたはメトリクスのサマリを表示します。例えば、マーケティングページであれば、企業ページには、リーチ、インプレッション、支出、リードなどの合計からなるマーケティングコレクションを表示し、サブページには納品、出荷、ディスプレイ、所有、獲得などの各チャネルのコレクションを表示し、すべてのコレクションにそのディメンションのKPIを反映させる必要があります。部署ページにも同様のロジックを持たせ、メトリクスに関する詳細をエンドユーザーに提供するためのドリルダウンオプションを用意します。
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部署別のビューはオーディエンスに基づいて分類します。これらのビューは、ページ、サブページ、コレクションに含めることができます。部署データの整理方法については、それらのデータが部署でどのように使用されているかに基づいて、最適な方法を判断する必要があります。例えば、CEOレベルであれば企業ビューを提供し、各部署がそのページ内のコレクションになります。次に、部署別のサブページを作成します。管理職者はこのページでデータの推進要因を追跡することになります。次に、各管理職者は、各部署のより細かな詳細を備えた各自の部署ページ(各自の「企業」ページ)を使用します。ニーズに最適であると判断したフレームワークに関係なく、部署ビューには、日常業務、パフォーマンス目標、個々のKPIなどを追跡するためのユーザー固有のメトリクスを含むサブページが必要です。これらの部署ビューは本質的に戦略的な理由から設けられるものですが、個人にとっても非常に重要です。
図1. インスタンスアーキテクチャガイド
詳細は、次のナレッジベースの記事を参照してください。
ページレベルのアーキテクチャ
ページレベルのアーキテクチャに関する次の推奨事項は、一般的な企業のニーズを反映していますが、他のほとんどの状況にも適用できます(「図2. DataSetバッチ最終実行日カード」および「図3. ページアーキテクチャガイド」を参照)。
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左から右、上から下の順に、ページには最もマクロレベルのビューから最もミクロレベルのビューを表示し、それぞれのコレクションでは独自のメトリクスまたはデータのカテゴリに関するより詳細な情報を確認できるようにします。
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最初のコレクションでは、カードはシンプルでわかりやすいものにする必要があります。カードあたりのメトリクスは1~2個とし、可能であればカードあたりのメトリクスを1個にしてパネルに入れるか、その他のわかりやすい形式で表示します。多くの場合、DataSetのバッチ最終実行日を表示することによって、データの信頼性が高まります。
図2. DataSetバッチ最終実行日カード
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これらのカードでは、メトリクスが目標またはベンチマークセットに到達したかどうかを強調して表示します。
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上位のコレクションカードにはアラートも含めます。ビジネスユーザーは、アラートにダッシュボードに関連するルールと条件を設定できます。ルールや条件が満たされ、注意が必要なときには、直接Pingを受信できます。アラートは、Domoプラットフォームにログインすることを日課にしていない意思決定者にとって特に便利な機能です。アラートを使用すると、受信者がデータにすばやくアクセスし、特定のビジネスイベントに関連するアクションをすばやく実行できます。また、Buzzをコラボレーションツールとして使用すれば、意思決定を行ったり、決定について話し合ったりできます。
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カードは10~20秒以内に理解できるように、シンプルなものにします。チャートを解釈するために凡例を読まなければならないのであれば、この最初のレベルとしてはチャートが複雑すぎます。
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ページの下位レベルのカードコレクションは、メトリクスのディメンションを強調し、対象者、概要、日時、場所、メトリクスがターゲットに従って/離れている理由をユーザーが理解できるようにする必要があります(「図3. ページアーキテクチャガイド」を参照)。メトリクスがターゲットから外れている場合や、他の分野の参考になるモデルを持つような大きな成果の場合にのみコレクションを確認するというのが理想的です。ユーザーが表示内容をすばやく解釈できるように、条件付き書式設定ツールを使用して、視覚的なインジケータを設定することをおすすめします。条件付き書式の例としては、目標ラインや目標達成時の色の変更などがあります。これらはBeast Mode計算を使用して適用できます。
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各Domoユーザーは、それぞれの必要性に合わせてページのカードとコレクションをカスタムビューに配置できます。ただし、ページの所有者は、すべてのユーザーに標準化されたビューを提供するために、再配置を制限することができます。この場合、ページ所有者がページをロックすることによって、ページ全体に一貫性のあるレイアウトを表示することができます。
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ページフィルターは、ダッシュボードを簡素化し、エンドユーザーにとって最も重要なデータのみを表示する際に最もよく使用される機能です(「図3. ページアーキテクチャガイド」を参照)。例えば、管理者がビジネスの地域や国ごとに個別のカードを作成しなくても、ページフィルターとパラメーターによるフィルターを使用することによって、すばやくデータにアクセスして質問の回答を得ることができます。フィルターは永続的なものではなく、その場でデータをスライスするためのものです。探しているデータのディメンションごとに個別のカードを作成する必要がないため、情報にすばやくアクセスして時間を節約できます。
図3. ページアーキテクチャガイド
詳細は、次のナレッジベースの記事を参照してください。
カードレベルのアーキテクチャ
カードレベルのアーキテクチャは、提示するメトリクスのタイプと、特定のカードに対するオーディエンスの関連ニーズに合わせます。ただし、次に提案するアーキテクチャは多くの場合に適用されるものです。これらを適用すれば、データのアクセシビリティが大幅に向上し、ユーザーにデータのストーリーをより効果的に伝えられるようになります。
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カード間のドリルパスとリンクは、直感的でわかりやすいものにする必要があります(「図4. ドリルパスとリンクカードのアーキテクチャガイド」を参照)。ドリルパスを使用する場合は、カードごとのドリルダウンレベルの数に注意し、ユーザーが無理なく使用できる数にします。例えば、クリックするたびにユーザーエクスペリエンスの煩わしさが増加する可能性があります。つまり、ドリルダウンレベルが5つもあるカードであれば扱いが面倒になり、ドリルレベルが使用されなくなるかもしれません。カードエクスペリエンスを設計する場合は、ドリルパスを作成するか新しいカードを作成するかを、適切に判断する必要があります。具体的には、対象者に応じたドリルダウンレベルの数を使用するようにします。例えば、管理職者が必要とするドリルレベルは1つだけで、アナリストには複数のドリルオプションが必要になる場合があります。
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コレクションとカードのタイトルは、このデータからどのようなビジネスに関する質問の答えを得ることができるのかを、ユーザーが簡単にわかるようにする必要があります。オーディエンスのニーズを想定して、コレクション内のカードの説明とその解釈方法、注目する理由、データに基づいて実行できるアクション項目、カスタマイズした時間枠やカウントなどのガバナンスに関するメモを含めます。それ以外にも、ガバナンス上のニーズにより、ネイティブシステムからのデータの変換方法に関する詳細などもカードの説明に含めることができます。
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コレクション内のカードも、目的に合わせて並べ替え、分類、サイズ設定する必要があります。最も関連性の高い情報または実用的な情報を提供するカードを左上に配置します。多くの場合、コレクション内の他のカードの原動力または最終結果となるカードが1枚あります。このカードは「ヒーロー」カードと呼ばれるもので、大きなサイズを使用します。小さいカードは、ヒーローカードが伝えようとするストーリーをわかりやすくするための、補足的な詳細または要素を提供します。
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コレクションとコレクション内のカードのそれぞれの数に注意してください。追加するコレクションは、ページごとに5つまで、コレクションあたりのカードは6枚未満にすることをおすすめします。これらの数は、利害関係者が通常このデータをどこで表示するのか(会議室のモバイルデバイス、ラップトップ、大画面など)によって変わってきます。
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関連カード機能を使用すると、コレクション内にあるカードに最も直接関連するカードを表示できるだけでなく、他のページまたはサブページにある他のカードにリンクできます(「図4. ドリルパスとリンクカードのアーキテクチャガイド」を参照)。これは、表示中のカードに対して、他のページの関連カードがより多くのコンテキストや情報を提供できる場合に特に便利です。
図4. ドリルパスとリンクカードのアーキテクチャガイド
詳細は、次のナレッジベースの記事を参照してください。
コンテキスト:複数のDataSetで考える
ここで一歩下がって、主な成果を促進するために必要な最適なメトリクスを考えてみます。影響を与えようとしている実際の成果を特定します。ほとんどの場合、それに答えるには複数のDataSetが必要です。複数のDataSetを考慮しないでダッシュボードを制限するようなことはしないでください。通常、最適なトラッキング方法には複数のDataSetが必要です。
例えば、キャンペーンの効果を追跡する方法として、1) 良い:「キャンペーン別のリード」2) より良い:「キャンペーン別の収益」3) 最適:「キャンペーン別のROIまたは収益性」の3つの方法があります。また、現在データにアクセスできるかどうかによって、ビジネスを成功させるために使用する、または使用する予定のメトリクスの作成が制限されることはありません。現時点では作成できない場合でも、最適なメトリクスを特定し、今後使用するロードマップとして保持しておきます。
詳細は、次のナレッジベースの記事を参照してください。
PDPを使用した例外による管理を有効にする
インスタンス、ページ、カードコレクション、カードアーキテクチャでは、組織内のユーザーが例外による管理を実行できるようにアセットを設計することも重要です。それには、注意が必要な場合にのみ、Domoユーザーが最も適切なデータとイベントに集中できるようにする必要があります。
同一のカード、ユニークなデータのビュー
多くの企業では、組織の責任者が組織の最下部までを表示できるページを作成すると便利です。例えば、マーケティング会社であれば、マーケティングアナリストまでを確認できる、CMOの関連ページを作成します。こうすることで、誰もがマーケティングの決定に関与し、同じページを使用できます。Personalized Data Permissions(PDP)を使用すれば、マーケティングアナリストに同じページを利用してもらうこともできます。CMOと同じページを見ることになりますが、表示されるのは自分の権限とデータの範囲内のコンテンツです。
PDPフィルターを使用すると、組織内の個人が特定のカードの目標にどのように影響しているかを確認できます。このようなカードを作成すれば、組織の共通のビジョンと共通のメトリクスに全員の足並みをそろえることができます。例えば、あるコンサルタントが上級レベルのマネージャーと同じカードを見ることもありますが、表示内容はそれぞれに異なります。ただし、どちらの場合でも、カードを見ることによって、組織に対する各々の影響を把握できます。PDPでは、基本的に、異なるデータアクセスポリシーをそれぞれの個人またはグループに設定できます。
PDP戦略を実装する際に、例外による管理を許可するPDPポリシーを作成する場合は、データの内容、アクセスするユーザーとその対象を慎重に検討する必要があります。
監査カードコレクション
ダッシュボードに追加できる便利なコンポーネントとして、監査カードコレクションがあります。このコレクションを使用すると、通常では考慮されない方法で、例外による管理を実行できます。ページの4番目または5番目のカードコレクションにこれらの監査カードを含めることをおすすめします。では、監査カードとはどのようなカードでしょうか。
監査カードコレクションは、理想的なステータスを0とする実用的なメトリクスに関連付けられたカードのセットを作成するという考え方に基づいています。例えば、会社でカスタマーサービスのリクエストに対応する仕事を担当している場合、目標はこれらのリクエストをすべて解決することです。未処理のサービスリクエストが0になると監査カードから通知が送信され、0を超えると警告が送られてきます。
カードを設計する際には、アクションが必要ないときにその監査カードのまとめ数字が「0」になるようにします。まとめ数字が0以外の数字になっている場合は、カードのユーザーは、そのメトリクスを0に戻すためのアクションをとる必要があります(「図5. 監査カードコレクション」を参照)。この場合もPDPを適用して、例えば、チームリーダーの監査カードのビューが本人のアカウントとチームのアカウントにのみ適用されるように設定することもできます。
さらに、これらの監査カードのまとめ数字に基づいたアラートを設定できます。これらのアラートは、カードのまとめ数字が0を超えるたびにユーザーに最新情報を伝えるように設計できます。この設定からも、イベントがトリガーされて個人的なアクションが必要なときにのみユーザーは監査カードに注意を払えばよくなります。
監査カードの設定に加えて、監査カードのコレクションを担当するチームのメンバーは、そのコレクションに表示されるデータに基づいて実行する必要のある「強制」アクションを担当する必要があります。
図5. 監査カードコレクション
すべてのDataSetを対象にしたPDP
PDPでは、例外による管理の戦略を強化および有効にするために、すべてのDataSetを対象にしたPDPポリシーを設定できます。この手順の実行には、次のようなメリットがあります。
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ユーザーがカードまたはページを共有している場合でも、共有コンテンツの受信者がPDPポリシーに追加されない限り、データを表示できないようにアクセスを制御することができます。これにより、秘密データを適切に管理できます。
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PDPポリシーにより、個人またはチームのビューがカスタマイズされ、それぞれの権限に関連する特定のデータが提供されます。管理職者や営業担当者が同じカードを使用していても、それぞれがアクセスできるのは各権限に該当するデータのみです。
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PDPを使用すると、重要なHRデータをアップロードした直後にPDPポリシーを適用して、データを非常に限られた人数に制限できます。これにより、データセキュリティ戦略にさらなる保護層を設置できます。
別のアプローチ
すべてのDomoユーザーは、各権限および個人に該当するデータを絞り込む項目別PDPポリシーを使用することによって、1つのページから必要なすべてのデータにアクセスできることになります。しかし多くの場合、管理職者向けビュー、チーム管理ビュー、個人向けビューなど、特定の権限に従ってビューまたはページを構成するとより効果的です。このシナリオでは、3つの異なるDataSetを作成して、マネージャーやチームリーダーがフィルターを使用してチームメンバーまたはそのチームの個人の観点からダッシュボードまたはカードを表示できるようにします。
PDPがなければ、データのカスタマイズされたビューにアクセスするには、フィルターに必要なすべてのフィールド名を把握しなければなりません。これらの異なるDataSetにPDPを適用すると、最初からフィルターを作成できます。PDPでは、表示する特定のデータ列を選択できます。これにより、多数のフィルターオプションを探すことを望まない管理職者も、極めて直感的に操作できます。PDPを使用すれば、管理職者は表示する項目のチェックボックスをオンにするだけで、すぐにそのビューにアクセスできます。
注意点
例外による管理を可能にする場合、PDPには様々なメリットがありますが、PDPポリシーをダッシュボード戦略に組み込む際には考慮すべき制限や状況がいくつかあります。
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特定のグループ内のユーザー数が100人以下の場合は、PDPが効果的に機能します。しかし、定義されたグループ内に100人を超えるユーザーがいる場合、それらのグループの維持が困難になり、すべてのユーザーが適切なレベルのデータにアクセスすることが難しくなります。
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一部のカードにまとめ数字が連結されている場合、このタイプのまとめ数字に基づいたアラートの設定はより難しくなります。この問題を解決するには、連結されたまとめ数字があるカードのコピーを含むカードのコレクションを別に作成します。ただし、これらのコピーでは、そのカードのアラートが有効になるように設定されます。基本的には、オーディエンスにより効果的にストーリーを伝えられるカードまたはカードコレクションと、特定のアラートをトリガーするように設計されたそのカードまたはコレクションのコピーを設定する必要があります。
詳細は、次のナレッジベースの記事を参照してください。
要約
要約すると、すべてのダッシュボードは、使用するユーザー、ユーザーが使用する場所、使用する目的を考え、ユーザーを第一に考えて設計する必要があります。ユーザーを念頭に置いて設計に取り組めば、一貫した戦略によってガバナンス、読みやすさ、スケーラビリティを実現することができます。
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